セキュリティ対談

不正利用されない
デジタル画像公開への取り組み(前編)

   
武市 智行
株式会社トリニティーセキュリティーシステムズ
代表取締役会長
瀬尾 太一 様
日本写真著作権協会
常務理事
武市
本日は、日本写真著作権協会(JPCA)の瀬尾常務理事にお話をお伺いしたいと思います。JPCAさんではT-SSのDRM技術を写真著作権保護の公式技術として採用していただきましたが、その経緯をお聞かせいただけますか。
瀬尾
まず当協会について申し上げますと、私どもは写真著作権の普及啓発を促進し、著作権管理事業を行う団体です。現在、プロ・アマを含め10の写真家団体に加入いただいており、正会員団体に加入する写真家は、約3万人にのぼります。
 当協会では、昨今のITの進化に対応して、写真コンテンツの流通を含めたビジネス拡大に寄与するため、写真家や作品をネット上で検索できるデータベース構築を進めてきました。ただ、ネットでの作品公開には不正利用という問題が常につきまとっており、データベース構築においてもそれがネックとなっていました。今回、T-SSのDRM技術と出会ったことで画像著作権を保護することが可能となり、データベースの構築が実現したのです。
 当協会はまた、美術・写真・グラフィックアートの3分野の著作権擁護団体である日本美術著作権機構(APG-Japan)の一員でもあります。APG-Japanの作品・著作権検索データベース構築の際には、私どもがT-SSの画像保護システムの活用を提案し、実現にこぎつけたという経緯もあります。現在、このデータベースでは、APGに参加する全ての写真家、美術家、グラフィックデザイナーが、自分のポートレートと代表作品5点をネット上に掲載できるようになっています。
武市
APG-Japanのデータベース構築に取り組まれたのは、いつごろからですか?
瀬尾
約8年前からです。
武市
それはネットを意識してということでしょうか?
瀬尾
そうです。ここで、写真家とインターネットの関わりについて少しお話ししましょう。写真家はこれまで、企業や出版社など特定のクライアントから仕事を受注するスタイルが一般的で、得意先を広げなくても仕事を確保することができました。しかし、カメラのデジタル化が進み、誰でもある程度の写真が撮れるようになると、写真家としての仕事が、限られたものになってきてしまったわけです。そうなると、より広く世界中からクライアントを見つけていかなくては生き残ることが難しくなります。ネット上に作品を公開してビジネスにつなげていくことが非常に重要になってきているのです。
 一方で、コンテンツ利用者の利便性を考えるなら、コンテンツを一括検索できるシステムが必要です。当時、文化庁が「JCIS(Japan Copyright Information System)」というデータベース構想を提唱していたこともあり、APG-Japanでも統一規格のデータベース構築の取り組みを始めました。
武市
写真をネットで公開する場合に画像著作権保護が重要だと?
瀬尾
はい。これまでも、多くの写真家が自分たちの写真をHP上に公開してきましたが、ウィンドウズの右クリックで簡単に画像をダウンロードできてしまう状況では、著作権侵害を受けてHPを閉鎖するしかありませんでした。それでも公開している写真家というのは、ネット上で幅広く認知されるメリットを重視すれば不正利用もやむなしと考えているか、不正利用されても困らない程度の小さな画像を公開しているかのどちらかだったわけです。
 こういった問題を解決するためには、画像著作権保護技術が不可欠です。将来的に写真コンテンツを商業ベースで流通させていく上でも、画像著作権保護はキーワードとなるでしょう。
武市
データベース構築にあたり、当社のDRM技術以外にも検討されたものはあったのでしょうか。
瀬尾
透かし技術など、いくつか検討しました。最終的にT-SSのDRMを採用したのは、HTML上の画像への保護が可能な技術だったからです。
 また、他の技術では画像を見るときにビューアが必要だったりと、何かしらユーザがコンピュータ環境を変える必要があるのは問題だと思いました。HTML上で普通に見られることが重要ではないかと。最初にT-SSの林社長とお会いしたときに、「できるだけユーザ側に意識させない状態で保護されているセキュリティ技術を目指している」ということをおっしゃっていましたが、T-SSさんのそういう思想は我々が考えるところとも非常に近く、また技術としての完成度も高いと感じました。
 あとは、マッキントッシュにも対応していることも重要なポイントでしょうか。マックユーザーは全体の1% 以下とはいえ、APG-Japanの会員に限って言えば利用者は60〜70%にも上るので、マッキントッシュへの対応は必須条件とも言えるものでした。ユーザがコンピュータ環境を変えることなく画像を見ることができる点が大きな理由でした。
 他社のシステムは最初から採算ベースでの運営を目的としたかなり大掛かりなものが多かったのに対し、T-SSではインフラを整備したいという当方の要望に合わせたシステム構築をしていただいたことにも大変満足しています。また、T-SSで自社開発しているものなので、導入後の継続的なサポートを期待できることも魅力に感じました。

Profile

武市 智行
株式会社トリニティー
セキュリティーシステムズ
代表取締役会長

1979年、株式会社四国銀行入行。1996年出向先であった株式会社スクウェア(現 株式会社スクウェア・エニックス)に入社。同年、同社代表取締役社長に就任。2000年、同社代表取締役会長に就任。2001年、株式会社ドリーミュージックを設立し、代表取締役に就任。2001年に、当社取締役に就任。2002年に、株式会社ダイマジック取締役に就任(現任)。2005年、株式会社ティーエスエスラボ代表取締役に就任(現任)。2005年、当社代表取締役会長に就任(現任)。

瀬尾 太一 様
日本写真著作権協会
常務理事
有限責任中間法人日本写真著作権協会 常務理事 (社)日本複写権センター 副理事長 文化庁 文化審議会著作権分科会委員
個展
1992.3 「異譚」 新宿ニコンサロン 1997.2 「裸行」ドイフォトプラザ渋谷 
受賞
1998 久保田一竹美術館フォトコンテスト 久保田一竹賞 1999 久保田一竹美術館フォトコンテスト 美術館賞 ほか
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